シムビコートSMART(スマート)療法とは?
喘息の治療では、これまで「毎日吸う薬」と「発作が起きたときの薬」を別々に使う方法が一般的でした。しかし近年、シムビコートSMART(スマート)療法という治療法が広く使われるようになっています。
SMART療法は、1種類の吸入薬で「普段の治療」と「発作時の治療」を両方行う方法です。患者さんにとってわかりやすく、発作の予防効果も高いことが多くの研究で示されていて、文字通り「スマート」な治療方法です。
この記事では、シムビコートSMART療法について、喘息患者さんやご家族にも理解しやすいように解説します。
ブデホルはシムビコート吸入薬のジェネリック医薬品になります。(中に含まれている薬は同じです)

シムビコートとはどんな吸入薬?
まず、SMART療法で使う薬について説明します。
シムビコートは、次の2種類の薬が一つになった吸入薬です。
① 炎症を抑える薬:ブデソニド
喘息では、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こっています。ブデソニドはこの炎症を抑え、発作が起こりにくい状態を作る薬です。吸入ステロイド薬と言われ、喘息の治療の中で最も重要な薬になります。
② 気管支を広げる薬:ホルモテロール
発作時に狭くなった気管支を広げ、呼吸を楽にする作用があります。ホルモテロールは、他の長期作用型β2刺激薬よりも効き始めが早く(効果の立ち上がりが早い)、喘息発作時・症状が出た時に使用すると症状を速やかに改善してくれます。そのためSMART療法に向いているのです。
この2つの作用を同時に持つことが、SMART療法が可能になる理由です。

SMART療法とは?
SMARTとは次の言葉の略です。
Single Maintenance And Reliever Therapy
つまり
1つの吸入薬で
・普段の治療(Maintenance)
・発作時の治療(Reliever)
を両方行う方法
という意味です。

従来の喘息治療との違い
従来の治療では次のように薬を使い分けていました。
従来の治療
普段
→ ステロイド吸入(パルミコート、レルベア、アドエアなど)
発作時
→ 短期作用型の気管支拡張薬(メプチン・サルタノールなど)
つまり
2種類の吸入薬
を使います。
SMART療法
普段
→ シムビコート吸入
発作時
→ 追加でシムビコート吸入
つまり「同じ吸入薬を追加するだけ」です。
このため
・薬がシンプル
・吸入ミスが減る
・発作の早期治療ができる
というメリットがあります。

SMART療法のメリット
SMART療法には次のような利点があります。
① 発作を減らす効果
多くの研究で
喘息増悪(発作)の回数が減る
ことが示されています。
② 早い段階で炎症治療ができる
発作が起きたときに吸入すると
気管支拡張薬だけでなく
ステロイドも同時に追加される
ため
炎症の悪化を早く抑えることができます。
③ 薬の使い分けが簡単
喘息患者さんで多い問題が
・発作薬だけ使う
・予防薬を使わない
ということです。
SMART療法では
使う薬が1種類
なので
治療の継続率が高くなる
と考えられています。
SMARTの吸入方法
医師の指示によって異なりますが、一般的には次のような使い方になります。
・普段
→ 1回1吸入を1日2回
・症状が出たとき
→ 追加で1吸入
・必要に応じて
→ 数回追加吸入
※1日の最大吸入回数には制限があります
詳しい吸入回数は必ず医師の指示に従ってください。
SMART療法が適している患者様
SMART療法は主に
・中等症以上の喘息
・発作を繰り返す患者
・吸入薬の使い分けが難しい患者
などに適しています。
一方で
・軽症喘息
・小児
・別の吸入薬を使用している場合
などでは適さない場合もあります。
治療方法は医師と相談して決めることが大切です。
副作用は?
シムビコートは比較的安全性の高い薬ですが、次のような副作用が起こることがあります。
・声がかすれる
・口の中のカビ(口腔カンジダ)
・動悸
・手の震え
予防のために
吸入後は必ずうがいをする
ことが大切です。
薬の値段は?
シムビコートは60吸入分で約760円(3割負担の場合)の患者様の負担額になります。
ジェネリック医薬品であるブデホルの場合は、60吸入分で約360円(3割負担の場合)になります。
まとめ
シムビコートSMART療法は
「1つの吸入薬で普段の治療と発作時の治療を行う喘息治療法」
です。
特徴は
・発作を減らす効果
・早期に炎症治療ができる
・薬の使い分けが簡単
という点です。
近年の喘息ガイドラインでも重要な治療法として推奨されており、世界的に広く使用されている治療法です。喘息の症状が続く場合は、医師と相談しながら適切な治療方法を選びましょう。
当院(名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック金山駅前院)では、シムビコートSMART療法による治療も行っております。患者様の状態に併せて、吸入薬を選択しています。院内で吸入薬の使用方法などの吸入指導も行っています。
喘息症状でお困りの際は、一度当院へご相談ください。
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当院の喘息治療に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
記事作成

名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック
呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁
参考文献
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Scicchitano R, Aalbers R, Ukena D, et al. Efficacy and safety of budesonide/formoterol maintenance and reliever therapy in asthma management. Respir Med. 2004;98(5):464-475.
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