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睡眠時無呼吸

いびきについて完全解説、睡眠時無呼吸との違いは?

睡眠時無呼吸

 

「いびきがうるさいと言われた」「最近いびきが大きくなった」——そんな悩みは珍しくありません。いびきには、健康への影響が小さい単純性いびき(原発性いびき)もあれば、呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。大切なのは、まず“どちらに当てはまるか”を見極め、そのうえで原因に合った対策を選ぶことです。この記事では、単純性いびきの特徴、セルフチェックのポイント、治療・対処法をわかりやすく解説します。

 

 

1) 単純性いびきとは何か

いびきは、睡眠中に上気道(鼻〜のど)が狭くなり、空気が乱流になって粘膜が振動して生じる音です。単純性いびきは、いびきはあるが、睡眠時無呼吸(反復する無呼吸/低呼吸、酸素低下、過度の覚醒反応)がない状態を指します。

単純性いびきは、睡眠時無呼吸とは異なり寿命が短くなったり病気などのリスクとはなりません。その一方、本人やパートナーの睡眠障害、関係性、日中の生活に大きく影響するため、お悩みの方も多いです。

いびきで本人・パートナーの日常生活に影響が出ている場合、マウスピースの作成をお勧めしています。

 

「単純性いびきと思っていたら睡眠時無呼吸だった」を疑うサイン

次がある場合は、単純性いびきより睡眠時無呼吸を優先して検査します(睡眠検査の適応になりやすい):

  • ① 就寝中に呼吸が止まる/窒息感で目覚める(同居者の目撃含む)

  • ② 日中の強い眠気、居眠り運転リスク、集中力低下

  • ③ 起床時頭痛、夜間頻尿、睡眠の質が悪い

  • ④ 高血圧、肥満、首回りが太い、2型糖尿病など併存
  •  



2) 単純性いびきの診断(やることは「睡眠時無呼吸の除外」+「狭窄部位と誘因の特定」)

A. 問診(本人+同居者情報が強い)

  • ・いびき頻度(週何回)、音量、仰向けで悪化するか、飲酒後に悪化するか

  • ・無呼吸の目撃、寝汗、窒息感、夜間覚醒

  • ・日中の眠気、朝の頭痛、集中力、仕事・運転への影響

  • ・体重増加、薬(睡眠薬・抗不安薬)、鼻炎症状

※スマホ録音やいびきアプリは“目安”にはなりますが、睡眠時無呼吸の確定/除外は睡眠検査が基本です。

 

B. 診察(耳鼻科・睡眠外来でよく見る所)

    • BMI(肥満度)、頸囲、血圧
  • 鼻(鼻中隔弯曲、下鼻甲介肥大、アレルギー性鼻炎)

  • 口腔・咽頭(扁桃、口蓋垂、軟口蓋、舌の大きさ)

  • 顎の後退、小顎、歯列

C. 検査(必要に応じて)

  • 睡眠検査(ポリソムノグラフィー検査または簡易睡眠検査):睡眠時無呼吸の除外や診断のために行います。単純性いびきと決め打ちせず、疑わしい場合は検査が安全です。当院では簡易睡眠検査(アプノモニター)とポリソムノグラフィー検査を自宅にて行っております。

  • 鼻閉が強い場合:鼻腔通気度、内視鏡などを検討します。

  • 体位依存(仰向けで悪化)評価:生活情報+睡眠検査データで判断します。

 

3) 治療・対処

単純性いびきは生命予後の高リスク疾患ではない一方、本人/同床者の睡眠障害、関係性、日中機能に大きく影響します。治療は次の優先度が一般的です。

 

① 生活習慣・誘因の是正(まず全員に)

(1) 就寝前の飲酒を避ける
アルコールは上気道筋を弛緩させ、いびきや睡眠時無呼吸を悪化させ得ます。過去の県k集データからも、アルコール摂取がいびき・AHI(無呼吸・低呼吸指数)・最低SpO₂(酸素飽和度)悪化と関連することが示されています。

(2) 体重管理(特に体重増加後に悪化した人)
いびき・睡眠時無呼吸は体重と強く連動します。睡眠時無呼吸での研究では減量するとがAHI(無呼吸・低呼吸指数)を改善することが示されており、単純性いびきでも「体重増加で悪化」タイプは減量の合理性が高いです。

(3) 睡眠薬・鎮静薬の見直し(処方医と相談)
鎮静により上気道がさらに潰れやすくなることがあります。

(4) 鼻づまり対策(後述の局所治療とセット)
鼻呼吸が保てると、口呼吸由来の振動が減る人がいます。

 

② 体位療法(“仰向けで悪化”が明確なら有力)

  • ・仰向けで舌根が落ちるタイプでは、横向き寝で改善しやすいです。

  • ・枕調整などを行います。

近年の研究では、単純性いびきに対してマウスピ-スと体位を組み合わせた治療法がより有効な可能性が示されています。

 

③ 鼻の治療(鼻炎・鼻閉がある人に“効く可能性が高い”)

アレルギー性鼻炎/慢性鼻炎がある場合:点鼻ステロイド
いびき患者を対象にした研究で、点鼻ステロイド薬が鼻呼吸割合を増やし、いびき頻度を“控えめに”減らしたことが報告されています。

※鼻腔拡張テープ等は個人差が大きく、鼻閉が主因の人には試す価値がありますが、万能ではありません。

 

④ 口腔内装置(マウスピース)

マウスピース(下顎前方移動装置)は、下あごを前に出して舌根沈下を抑え、気道を広げます。

  • ・睡眠時無呼吸のない単純性いびきに対して、マウスピースを無治療より推奨しています。

  • 近年の研究で、マウスピースは体位などの治療より効果が高い可能性が示されました(いずれもいびきを低減)。

注意点(副作用・適合)

  • 顎関節痛、歯の痛み、唾液、噛み合わせ変化などがあり得るため、歯科での調整・フォローが重要です。

⑤ 口腔咽頭の筋トレ

口・舌・軟口蓋の筋機能を上げ、気道の“たわみ”を減らす狙いです。過去の研究でも、3か月の口腔咽頭エクササイズにより、いびきが有意に低下した報告があります。一方で、対象(肥満の程度、睡眠時無呼吸の合併、解剖学的特徴)により効果が揺れやすい報告もあり、「効く人を選ぶ」が重要となってきます。

 

 

<効果が出やすい人・出にくい人>

出やすい傾向

  • ・口呼吸・口が開きやすい(起床時の口の渇き)

  • ・舌が低位(普段、舌先が下の歯の裏に付いている)

  • ・仰向けでいびきが増える

  • ・鼻の通りは比較的保てている(※鼻閉が強いと口呼吸が固定されやすい)

出にくい/先に別対応が要ることが多い

  • ・強い鼻詰まりがある(まず鼻炎治療が優先)

  • ・顎の後退が強い・歯列/咬合問題が大きい

  • ・すでに中等度以上の睡眠時無呼吸疑い(無呼吸や強い眠気がある)→睡眠検査優先

 

⑥ 手術

「ここが強く狭い」という部位が明確で、上述のような治療でも不十分な場合に検討されます。

鼻中隔弯曲など鼻手術は、睡眠時無呼吸では鼻づまりなどの症状改善が中心で、無呼吸の改善は乏しいと報告されています。また単純性いびきでも「鼻づまりが主因」の場合に適応となりやすいです。

重要:手術は不可逆で、効果の個人差も大きいので、原因評価(鼻・咽頭・顎・体位)→適応があれば手術の順が安全です。

 

⑦ レーザー治療

いびきに対する「レーザー治療」は、大きく2つに分かれます。効果やリスクがかなり違うので、ここを分けて理解するのが重要です。

  • A:切る/焼く系(アブレーティブ:焼灼)
    代表:LAUP(laser-assisted uvulopalatoplasty:レーザー口蓋垂軟口蓋形成術)=軟口蓋や口蓋垂をレーザーで切開・蒸散して短縮/瘢痕化させる

  • B:引き締め系(非切開・非アブレーティブ:非焼灼)
    代表:Er:YAG “NightLase” など=粘膜表層を強く傷つけずに熱作用で組織をタイトニング(コラーゲン変性/再構築を狙う)

以下、それぞれの効果(どれくらい効くか)/エビデンスの強さ/限界/安全性を、科学的根拠ベースで整理します。

 

 

A:LAUP(切るレーザー)の特徴と効果

1) いびきへの効果

  • 過去の研究では、「1回で行うLAUP」は期待されたほどの効果が示せなかった、という結論の報告があります。

  • 別の研究では、主観的には改善した人が一定数(約半数)いる一方で、日中の眠気は改善しにくく、副作用は「よく起きた」と報告されています。

つまり、LAUPは「効く人もいる」が、「効果の再現性・大きさが安定しない」、というのが全体像です。

また原則としていびきの症状だけでは、LAUPによる治療は保険適用にはなりません。

 

2) 睡眠時無呼吸への効果・安全性

  • 米国睡眠医学会では、LAUPは睡眠時無呼吸の治療として推奨されないとされています。

  • さらに、LAUPの睡眠時無呼吸に対する研究では、平均的には無呼吸指数が下がる傾向があっても、個人データではAHI悪化が見られるなど、結果が好ましくない点が強調され、「慎重に(あるいは避けるべき)」という論調です。

 

  • 睡眠時無呼吸がある場合は、LAUPが保険適応となる場合があります。

3) まとめ(LAUPの位置づけ)

  • 単純性いびきに限っても、“必ず効く治療”ではない

  • 不可逆(組織を切る/焼く)で、痛み・嚥下違和感・声の変化などのリスクが問題になりやすい

  • 現代では「まずは可逆的な治療(体位、鼻治療、MAD、筋トレなど)」を優先し、手術は適応をかなり厳密にする流れが一般的です。

B:非切開・非アブレーティブの特徴と効果

Er:YAG “NightLase” など

 

1) いびきへの効果(短期〜中期)

  • 過去の研究では、非アブレーティブEr:YAGでいびきの主観評価が改善する一方、無呼吸指数などの指標は変わらないことが多い、とまとめられています。

  • Er:YAG(NightLase)はいびき関連スコアを改善したと報告されています。

要するに、「いびき音や同床者の困り感など“いびきそのもの”の改善」には一定の根拠が出てきていますが、主に軽症〜単純性いびき向けの話です。

2) 持続性(どれくらいもつ?)

  • 追跡研究(例:2年フォロー)もありますが、長期効果の確実性はまだ強いとは言いにくいのが現状です。

臨床的には「効いたとしても、時間とともに戻るので追加照射(メンテナンス)が提案されることがある」領域ですが、メンテ周期の最適解はまだ分かっていないのが現状です。

3) 安全性

  • 非アブレーティブEr:YAGは多くの報告で麻酔不要・痛み軽度・大きな有害事象が少ないとされます。 ただし、研究規模が大きくはないため、稀な合併症まで含めた確実な頻度推定は今後の課題です。

4) まとめ(非アブレーティブEr:YAGの位置づけ)

  • 単純性いびきで、「切る手術は避けたい」「MADが合わない/歯科的に難しい」などの条件なら検討余地

  • ただし、効果評価が主観指標中心になりやすく、長期の確実性はまだ発展途上

  • 中等度以上睡眠時無呼吸が疑われる人の“代替治療”にはしない(まず睡眠検査と標準治療の検討が優先)

  •  

じゃあ、レーザーは「やる価値がある」のはどんな人?

次の条件に比較的フィットすると、レーザーの“期待値”が上がります(特に非アブレーティブ系):

  • ① 睡眠検査で睡眠時無呼吸が否定されている

  • いびきの主因が「軟口蓋の振動」寄り(耳鼻科内視鏡などで評価)

  • ③ BMIが高すぎない(高度な肥満ではない)、鼻閉が重度ではない(口呼吸固定が強いと限界)

  • ④ まずは可逆的治療(禁酒・体位・鼻治療・筋トレ)を試したが、十分でない

逆に、無呼吸の目撃・強い眠気・高血圧/肥満などがある場合は、レーザー検討より先に睡眠時無呼吸評価が優先です。

 

 

4) 受診の目安(単純性いびきでも受診して良い)

  • ・同居者からの苦情が強く、生活に支障

  • ・眠気・頭痛・集中力低下がある

  • ・高血圧・肥満・糖代謝異常がある

  • ・無呼吸が疑われる(最優先で評価)

 

5) 当院からのメッセージ

いびきは「疲れているだけ」と思われがちですが、鼻づまりや体重、寝姿勢などの影響で起こることもあれば、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。

当院(名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック金山駅前院)では、まず丁寧な問診と診察で原因を見極め、必要に応じて睡眠の検査を行い、生活改善・鼻の治療・体位の工夫・マウスピース治療など、無理のない方法から段階的にご提案します。必要に応じて、歯科へのマウスピースの作成紹介も行っております。

「家族に指摘されて気になる」「最近いびきが大きくなった」「日中眠い」など、どんな小さなお悩みでもご相談ください。あなたとご家族が、安心して眠れる毎日を一緒につくっていきます。

 

当院の睡眠時無呼吸の検査についてはこちら

当院の睡眠時無呼吸の治療に関してはこちら

いびきに関する別の記事はこちら「いびき=睡眠時無呼吸ではありません。放置で何が起きる?

 

記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士  表紀仁

 

 

引用文献

  1. ・Ramar K, Dort LC, Katz SG, et al. Clinical Practice Guideline for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Snoring with Oral Appliance Therapy: An Update for 2015. J Clin Sleep Med. 2015;11(7):773-827. doi:10.5664/jcsm.4858. PMID:26094920.

  2. ・Ioerger P, Afshari A, Hentati F, et al. Mandibular Advancement vs Combined Airway and Positional Therapy for Snoring: A Randomized Clinical Trial. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2024;150(7):572-579. doi:10.1001/jamaoto.2024.1035. PMID:38780959.

  3. ・Ieto V, Kayamori F, Montes MI, et al. Effects of Oropharyngeal Exercises on Snoring: A Randomized Trial. Chest. 2015;148(3):683-691. doi:10.1378/chest.14-2953. PMID:25950418.

  4. ・Koutsourelakis I, Keliris A, Minaritzoglou A, Zakynthinos S. Nasal steroids in snorers can decrease snoring frequency: a randomized placebo-controlled crossover trial. J Sleep Res. 2015. doi:10.1111/jsr.12249. PMID:25306888.

  5. ・Burgos-Sanchez C, Jones NN, Avillion M, et al. Impact of Alcohol Consumption on Snoring and Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2020;163(6):1078-1086. doi:10.1177/0194599820931087. PMID:32513091.

  6. ・Stuck BA, Sauter A, Hörmann K, Verse T, Maurer JT. Radiofrequency surgery of the soft palate in the treatment of snoring. A placebo-controlled trial. Sleep. 2005;28(7):847-850. doi:10.1093/sleep/28.7.847. PMID:16124664.

    Sateia MJ. International classification of sleep disorders-third edition: highlights and modifications. Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0970. PMID:25367475.

  7. Foster GD, Borradaile KE, Sanders MH, et al. A Randomized Study on the Effect of Weight Loss on Obstructive Sleep Apnea Among Obese Patients With Type 2 Diabetes: The Sleep AHEAD Study. Arch Intern Med. 2009. (PMC参照)

 

CPAPは一生続ける必要がありますか?呼吸器内科医が回答

睡眠時無呼吸

 

「CPAPは一生続けないといけませんか?」「体重が減ったのでやめられますか?」——睡眠時無呼吸症候群でCPAP治療を続けていると、こうした疑問を持つ方は少なくありません。

結論から言うと、CPAPは原則として治療を継続していかなければいけないですが、原因が改善して睡眠時無呼吸症候群が軽快・消失した場合には、医師の管理下で中止できる可能性もあります。ただし、自己判断での中断は再発や体調悪化につながることがあるため注意が必要です。

この記事では、CPAP中止を検討できるケース、判断基準、再検査の流れまでをわかりやすく解説します。

 

 

1. 結論:CPAPは「原則、長期継続治療」。ただし中止できる人もいます。

 

 

睡眠時無呼吸症候群は、一時的な体調不良ではなく、背景に「上気道(のど)の狭さ」や「顎の形」「舌の大きさ」「筋肉のゆるみ」「加齢」「体重」「鼻づまり」「飲酒」「睡眠姿勢」などが複合して関わる、慢性的に再発しやすい病気です。
そのためCPAPは「一定期間使ったら治って終わり」という治療というより、使っている間に無呼吸を確実に抑え、低酸素や睡眠の分断を防ぎ、合併症リスクを下げる“長期管理の治療”として位置づけられています。

 

一方で、すべての方が“必ず一生”という意味ではありません。
たとえば 減量による体重減少が維持できた場合、扁桃肥大の手術や鼻閉の治療などで気道の通りが改善した場合、口腔内装置(マウスピース)で十分にコントロールできる場合など、原因や悪化因子が大きく改善して、CPAPを外した状態でも検査で安全が確認できれば、医師の管理下で中止を検討できることがあります。

ただし重要なのは、「最近眠くない」「いびきが減った気がする」といった自覚症状だけで“治った”と判断しないことです。睡眠時無呼吸症候群は、本人が気づきにくい形で無呼吸・低酸素が残っていることもあります。だからこそ、CPAP中止の可否は症状だけではなく、CPAPオフでの再検査(簡易検査や終夜睡眠検査)と、合併症リスクを含めた総合判断が必要になります。

 

 

2. なぜ自己判断でCPAPを中断してはいけないのか(短期間でも再発しやすい)

CPAPは「治す薬」というより、使っている間だけ気道を広げて無呼吸を防ぐ治療です。そのため中止すると、比較的短期間で無呼吸が再発しやすいことが研究で示されています。 

自己判断での中断が危険な理由

  • ① いびき・無呼吸・日中の眠気が戻る
  • ② 血圧や心拍、交感神経の亢進などが悪化しうる
  • ③ 運転や仕事の安全性(眠気・集中力低下)に影響
  • ④「症状がない気がする」だけでは、低酸素や無呼吸が残っていることがある

などの理由があります。

 

3. CPAP中止を検討できる代表的なケース

ケースA:体重減少(減量)で重症度が下がった

肥満が主因の方は、減量でAHI(無呼吸低呼吸指数)が大きく改善することがあります。
ただし、減量後も睡眠時無呼吸症候群が残る人が多いことが知られています(「体重が落ちた=治った」とは限りません)。

 

 

 

ケースB:外科治療(扁桃手術・鼻手術・顎顔面手術など)や口腔内装置で改善

手術やマウスピース(口腔内装置)で改善した場合も、治療効果の確認検査が重要です。 

 

ケースC:睡眠姿勢・飲酒・鼻炎治療など、誘因を是正できた

横向き寝で改善する“体位依存”タイプ、鼻閉が主因のタイプなどは、環境・治療で軽快することがあります。ただし、これも検査での確認が必須です。

 

4. CPAP中止の判断基準

中止の可否は、「症状」+「客観検査」+「合併症リスク」で総合判断します。

① 症状の基準

以下が数か月以上しっかり改善しているかを確認します。

  • ・いびき・無呼吸の指摘がない
  • ・起床時の頭痛、熟睡感のなさがない
  • ・日中の眠気(会議中・運転中の眠気)がない
  • ・夜間頻尿や中途覚醒が減った

※「慣れたから眠くない」こともあるため、症状だけで判断しません

 

② 検査の基準:“CPAPオフ”での再評価が必須

CPAPを外した状態で、以下を確認します。

  • ・AHIが十分に低い(目安:AHI<5で“正常域”、少なくとも中等症以上が否定できること)
  • ・酸素飽和度低下(ODI、SpO₂<90%の時間など)が問題ない
  • ・必要に応じてPSG(終夜睡眠ポリグラフ)で睡眠の質も評価

どの検査を選ぶか(PSGか簡易検査/HSATか)は、重症度・合併症・職業(運転業務など)で変わります。診断・フォローの検査適応に関する指針も参考になります。

 

詳しい検査方法についてはこちら

 

4-3. 体重・生活習慣の基準

  • 体重が減った場合、リバウンドがない/維持できている
  • 飲酒・睡眠不足・鎮静薬など、悪化因子がコントロールできている

※臨床ガイドラインでは、体重変化後のフォロー検査の重要性が述べられています(例:大きな体重変化後の再評価)。

 

4-4. 合併症・高リスク職種の基準

以下に当てはまる方は、たとえ症状が軽くても慎重に判断します。

  • ・高血圧・心房細動・心不全・脳卒中既往など循環器リスクが高い
  • ・糖尿病、重い肥満、COPDなど
  • ・職業運転手など、眠気が重大事故につながる

 

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 「体重が10kg減った」のでCPAPはやめられますか?

可能性はありますが、減量後も睡眠時無呼吸症候群が残るケースは多いです。CPAPオフでの再検査で確認しましょう。

ちなみに、体重を10%減らすと、AHIは平均で約26%低下(逆に10%増えると約32%上昇)すると言われています。

 

Q2. いびきが減った気がします。検査なしで中止していい?

おすすめしません。自覚症状が乏しくても、夜間の無呼吸や低酸素が残ることがあります。 

 

Q3. CPAPをやめたらまた再開できますか?

CPAP再開自体はすぐに可能です。状況によっては再評価(検査)が必要になります。症状再燃や体重増加があれば早めに受診しましょう。

 

6. まとめ:CPAP中止の判断は「再検査で安全確認」が基準

  • CPAPは原則、長期的に継続治療が必要です。ただし、減量・手術・口腔内装置・生活改善などで中止できる人もいます。中止の判断は、症状+CPAPオフでの検査(PSG/簡易検査)+合併症リスクで総合的に判断します。自己判断の中断は避け、医師と「やめ時」「再検査のタイミング」を一緒に決めるのが安全です。

 

 

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記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁

 

 

引用論文

  1. ・Patil SP, Ayappa IA, Caples SM, et al. Treatment of adult obstructive sleep apnea with positive airway pressure: An American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):335-343.
  2.  
  3. ・Epstein LJ, Kristo D, Strollo PJ Jr, et al. Clinical guideline for the evaluation, management and long-term care of obstructive sleep apnea in adults. J Clin Sleep Med. 2009;5(3):263-276.
  4.  
  5. ・Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, et al. Clinical practice guideline for diagnostic testing for adult obstructive sleep apnea: An American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.
  6.  
  7. ・Caples SM, Anderson WM, Calero K, Howell M, Hashmi SD. Use of polysomnography and home sleep apnea tests for the longitudinal management of obstructive sleep apnea in adults: An American Academy of Sleep Medicine clinical guidance statement. J Clin Sleep Med. 2021;17(6):1287-1293.
  8.  
  9. ・Kohler M, Stradling JR. Effects of continuous positive airway pressure therapy withdrawal in patients with obstructive sleep apnea: a randomized controlled trial. Am J Respir Crit Care Med. 2011;184(10):1192-1199.
  10.  
  11. ・Young LR, Taxin ZH, Norman RG, Walsleben JA, Rapoport DM. Response to CPAP withdrawal in patients with mild versus severe obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome. Sleep. 2013;36(3):405-412.
  12.  
  13. ・Lettieri CJ, Eliasson AH, Greenburg DL. Persistence of obstructive sleep apnea after surgical weight loss. J Clin Sleep Med. 2008;4(4):333-338.

CPAPマスクの種類と特徴

睡眠時無呼吸

CPAP治療(睡眠時無呼吸症候群の標準治療)は、「機械」よりも「マスク」が合うかどうかで続けやすさが大きく変わります。実際、研究でも鼻マスク/鼻ピローは、口鼻マスク(フルフェイス)より残存AHI(無呼吸・低呼吸指数)が低く、圧が低く済み、継続率が良い傾向が報告されています。


この記事では、患者さんが選びやすいように CPAPマスクの種類・向き不向き・トラブル対策をまとめます。あなたに合う“付け心地”で治療効果と継続率を上げるコツを解説します。

 

 

 

 

CPAPマスクは大きく3タイプ

1) 鼻マスク(Nasal mask)

鼻だけを覆う、最も標準的なタイプ。

メリット

  • ・治療成績と快適性のバランスが良い(第一選択になりやすい)

  • ・漏れ(リーク)や違和感が比較的少ない設計が多い

デメリット

  • ・口が開くと口漏れ(マウスリーク)で乾燥・効果低下につながることがある

向いている人

  • ・鼻呼吸が基本の人

  • ・初めてCPAPを始める人(まずはここからが多い)

画像:https://cpap-lab.com/products/philips-nuancepro-nasal-pillowgel.html

 

  •  

2) 鼻ピロー(Nasal pillows)

鼻孔に“枕(ピロー)”のように当てて送気する、最小接触タイプ。

メリット

  • ・顔を覆う面積が小さく、圧迫感が少ない

  • ・鼻症状がある人でも、口鼻マスクより継続率が良い

デメリット

  • ・鼻の入口が痛い/乾燥する、サイズが合わないと漏れやすい

  • ・標準鼻マスクと比べて「必ずしも使用時間が伸びるとは限らない」という報告もあります

向いている人

  • ・顔に物が当たるのが苦手、閉塞感が強い

  • ・寝返りが多い(合う製品だとズレにくい)

画像:https://cpap-lab.com/products/philips-nuancepro-nasal-pillowgel.html

 

  •  

3) 口鼻マスク(Full face:フルフェイス)

口と鼻の両方を覆うタイプ(“口呼吸だから必須”と思われがち)。

メリット

  • ・鼻づまりが強い時期でも治療を続けやすい

  • ・強い口漏れがどうしても止まらない人の受け皿になる

デメリット

  • ・研究では、鼻系(鼻マスク/鼻ピロー)に比べて必要圧が上がりやすく、残存AHIが増えやすく、継続率が不利になりうると報告されています

  • ・マスク面積が広い分、フィット調整が難しいことがある

向いている人

  • ・強い鼻閉があり、鼻呼吸が難しい日が多い

  • ・口漏れ対策(後述)をしても改善しない

  •  

画像:https://cpap-lab.com/products/philips-dreamwear-fullface.html

 

  •  

「口呼吸=フルフェイス」が正解とは限らない

「鼻が悪いから」「口呼吸だから」口鼻マスクを選びがちですが、鼻症状があっても鼻系マスクの方が継続が高いという報告もあります。 また、鼻症状の治療(加温加湿、点鼻ステロイド、必要に応じて治療介入)を行い、鼻マスク継続を助けた方がよいとされています

 

 

マスク選びで失敗しやすいポイントと対策

1) 空気漏れ(リーク)

  • ① 原因:サイズ不一致、締めすぎ/緩すぎ、寝返りでズレ、皮脂・汗、ヒゲ

  • ② 対策

    • まずサイズ見直し(同じMでも製品で形が違う)

    • “締めすぎ”は逆に漏れやすい

    • マスククッションの交換時期を守る(劣化で漏れ増)

    •  

2) 口漏れ(マウスリーク)・口の乾燥

  • ① 原因:睡眠中の開口、圧が高い、鼻閉

  • ② 対策

    • 加温加湿の調整(乾燥対策の第一歩)

    • 鼻閉があるなら治療(点鼻、アレルギー対策など)

    • 必要に応じてチンストラップやマスク変更(鼻マスク+チンストラップが有利なケースも)

    •  

3) 鼻の痛み・赤み(鼻ピローで多い)

4) 圧迫感・閉塞感(フルフェイスで多い)

  • 対策:鼻系への変更を検討(治療成績・圧・残存AHIの面でも利点が出やすい)

  •  

マスク選びの“最短ルート”:当院おすすめの考え方

  1. まずは鼻マスク(または鼻ピロー)でフィッティング

  2. 鼻症状(鼻づまり・鼻炎)があれば並行して治療

  3. 口漏れが強ければ、加湿調整→チンストラップ等→それでも難しければ口鼻マスクへ

  4. 変更後は、データ(使用時間・リーク・残存AHI)で客観的に再評価

  5.  

よくある質問(FAQ)

  1. Q. 鼻づまりがあるので最初からフルフェイスが良い?
    A. 一概には言えません。鼻症状があっても、鼻系マスクの方がアドヒアランスが良い可能性が示されており、鼻症状の治療を併用しながら鼻系で継続できることも多いです。

花粉症やアレルギー性鼻炎などの鼻炎対策についてはこちらの記事を参考にしてください。

  1.  
  2. Q. 鼻ピローは“最強”ですか?
    A. 合う人にはとても快適ですが、研究では鼻マスクと同等で「必ずしも使用時間が増えるとは限らない」報告もあります。大事なのは“あなたに合う形とサイズ”です。
  3.  
  4. Q. マスクを変えたら圧の再調整が必要?
    A. とくに鼻系→口鼻マスクへ変更すると、必要圧が上がることがあり、再評価が推奨されます。
  5.  
  6.  

当院からのメッセージ

CPAPは「慣れれば楽」になる治療ですが、最初につまずく原因の多くはマスクの不快感・漏れ・乾燥です。マスクは“我慢して慣れる”より、合うものに調整・変更する方が近道です。装着の癖、鼻炎の有無、寝返り、圧設定などを一緒に見直し、データと体感の両方から最適解を探します。

 

 

当院のCPAP治療に関する記事はこちら

引っ越しや転勤で当院への転院・通院を希望される方はこちら

 

 

記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器専門医・医学博士  表紀仁

 

 

参考文献

  1. ① Rowland S, Aiyappan V, Hennessy C, et al. Comparing the Efficacy, Mask Leak, Patient Adherence, and Patient Preference of Three Different CPAP Interfaces to Treat Moderate-Severe Obstructive Sleep Apnea. J Clin Sleep Med. 2018;14(1):101-108. doi:10.5664/jcsm.6892.

  2. ② Genta PR, Kaminska M, Edwards BA, et al. The Importance of Mask Selection on Continuous Positive Airway Pressure Outcomes for Obstructive Sleep Apnea. An Official American Thoracic Society Workshop Report. Ann Am Thorac Soc. 2020;17(10):1177-1185. doi:10.1513/AnnalsATS.202007-864ST.

  3. ③ Chen LY, Chen YH, Hu SW, et al. In search of a better CPAP interface: A network meta-analysis comparing nasal masks, nasal pillows and oronasal masks. J Sleep Res. 2022;31(6):e13686. doi:10.1111/jsr.13686.

  4. ④ Ryan S, Garvey JF, Swan V, Behan R, McNicholas WT. Nasal pillows as an alternative interface in patients with obstructive sleep apnoea syndrome initiating continuous positive airway pressure therapy. J Sleep Res. 2011;20(2):367-373. doi:10.1111/j.1365-2869.2010.00873.x.

  5. ⑤ Schell AE, Soose RJ. Positive airway pressure adherence and mask interface in the setting of sinonasal symptoms. Laryngoscope. 2017;127(10):2418-2422. doi:10.1002/lary.26486.

睡眠時無呼吸症候群と咳の関係

睡眠時無呼吸

 

「咳だけが何週間も続く」「夜〜明け方に咳が増える」「朝起きた直後に咳が出る」――このような咳の背景に、睡眠時無呼吸症候群が関与していることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は、“いびき・無呼吸”の病気として知られますが、近年は長引く咳(8週以上続く咳)との関連も複数報告されています。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群が咳を引き起こす仕組み、見分け方、検査・治療(CPAP含む)を、呼吸器内科医の視点で解説します。

 

SASが咳に関係する“根拠(データ)”

1)咳が長引く患者さんに睡眠時無呼吸症候群が多い

日本の報告では、慢性的に咳が続く患者さんを調べてみると…

  • ・75人のうち44%に睡眠時無呼吸症候群

  • ・そのうちCPAP治療で93%が咳の改善
     

といったデータがあります。

また、ほかの研究でも、睡眠時無呼吸症候群の患者さんで慢性咳が多く、CPAPで改善することが報告されています。これらのデータからも睡眠時無呼吸と咳は関連があることがわかります。

 

2)CPAPで咳症状が改善

慢性の原因不明咳嗽(>2か月)かつ睡眠時無呼吸症候群の患者さんを、CPAPとシャムCPAP(偽物のCPAP)に無作為化した試験で、6週間後に咳のQOL指標がCPAP群で有意に改善していました。シャムCPAPとは偽物のCPAPで、気道に十分な圧がかからないような仕組みになっています。

CPAP治療が咳を改善させるって、意外ですよね。

 

なぜ睡眠時無呼吸症候群で咳が出るの?(主なメカニズム3つ)

睡眠時無呼吸症候群と咳との関連性は、単に「太っているから」だけでは説明できず、複数の要因が重なって咳が長引きます。以下がその代表的な要因になります。

 

① 胃食道逆流が増え、喉が刺激される

無呼吸・低呼吸時には胸腔内陰圧が強くなり、胃酸が上がりやすい条件が揃います。また睡眠時無呼吸症候群の患者さんにCPAP治療を行うと胃酸の逆流が大きく減少しました。

→ 逆流が咳に関わっている方では、睡眠時無呼吸症候群の治療が“咳の引き金”を下げる可能性があります。

 

② 鼻づまり・口呼吸・乾燥(後鼻漏も)で咳が出やすくなる

睡眠時無呼吸症候群では鼻閉(鼻づまり)を合併しやすく、口呼吸が増えると咽頭が乾燥し、夜間〜起床時の咳が出やすくなります。また、鼻炎/副鼻腔炎に伴う後鼻漏(のどに鼻水が落ちる)は慢性的な咳が続く代表原因で、睡眠時無呼吸症候群と併存すると“治りにくい咳”になりがちです。

 

③ 喘息・咳喘息のコントロールを悪化させる

睡眠時無呼吸症候群は睡眠分断や炎症、自律神経の変化などを介して、喘息症状の悪化因子になり得ます。実際、睡眠時無呼吸症候群を合併した喘息患者さんで、CPAP導入後に喘息コントロールやQOL、肺機能が改善した報告があります。喘息の患者さんでは、「吸入はしているのに夜間症状が残る」「早朝の咳が強い」場合、睡眠時無呼吸症候群の関与を疑う価値があります。

 

気管支喘息や咳喘息に関する詳しい記事はこちら 「気管支喘息」・「咳喘息」 

 

睡眠時無呼吸症候群が関係していそうな咳の特徴

次に当てはまるほど、咳の背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性が上がります。

  • ① 夜〜明け方に咳が増える/寝ると咳が出る

  • ② 朝起きた直後に咳が出る、喉がイガイガする・声枯れ

  • ③ いびきが大きい/家族に無呼吸を指摘された

  • ④ 日中の眠気、集中力低下、起床時頭痛

  • ⑤ 夜間頻尿(夜中にトイレ)

  • ⑥ 胸やけ、呑酸(酸っぱいものが上がる)、喉の違和感

  • ⑦ 鼻づまり、後鼻漏がある

  • ⑧ 喘息/咳喘息の治療中なのに夜間症状が残る



検査:何をすればわかる?

自宅でできる簡易検査(まずはここから)

ご自宅で1~2晩計測し、無呼吸低呼吸指数(AHI相当)や酸素低下を評価します。装着方法も簡単で、忙しい方でも検査しやすいのが利点です。当院(名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック)でも簡易検査であるアプノモニターを行っております。

 

 

精密検査(PSG:ポリソムノグラフィ)

必要に応じて、脳波・呼吸・心拍などを同時測定し、重症度やタイプを詳しく判定します。当院は在宅PSGを行っており、自宅で検査が可能です。

 

睡眠時無呼吸症候群の検査方法については詳細はこちら

 

治療:睡眠時無呼吸症候群を治すと咳は良くなる?

1)CPAP療法(中等症〜重症の標準治療)

CPAPは気道の閉塞を防ぎ、睡眠の質を改善することができ、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療方法です。

咳に関しては、慢性咳嗽×睡眠時無呼吸症候群でCPAPにより咳QOLが改善した研究結果があります。また、CPAPが胃酸の逆流を減らすことは多くの研究で示されています。。

※注意:CPAP開始直後は、乾燥・鼻炎で咳が一時的に増えることがあります。加湿設定やマスク調整、鼻治療で改善することが多いです。

 

2)生活指導(“咳”にも“無呼吸”にも効く)

  • 就寝前の飲酒を控える(無呼吸悪化)

  • 就寝2〜3時間前までに夕食(逆流・咳対策)

  • 体重管理(特に内臓脂肪)

  • 横向き寝(仰向けで悪化しやすい)

  • 枕を少し高く(逆流・咽頭刺激対策)

3)咳の“合併原因”を同時に治療する

睡眠時無呼吸症候群だけでなく、胃酸逆流・後鼻漏・喘息/咳喘息が絡むことが多いため、咳が長引く場合は同時評価が重要です。

 

よくある質問(FAQ)

  1. Q. 咳が主症状でも睡眠時無呼吸症候群の検査をしていい?

  2. A. はい。慢性咳嗽と睡眠時無呼吸症候群の関連や、CPAPでの改善を示す報告があります。咳の原因精査の一環として検討する価値があります。
  3.  
  4.  
  5. Q. 逆流があると咳が出るのはなぜ?
    A. 胃酸や胃内容物が食道〜喉を刺激し、咳反射が起きます。OSAでは陰圧などにより夜間逆流が増えやすく、CPAPで逆流が減った研究があります。
  6.  
  7.  
  8. Q. CPAPで咳が増えた…やめた方がいい?
    A. 乾燥や鼻症状が原因のことが多く、加湿・マスク調整・鼻治療で改善しやすいです。自己中断せずご相談ください。

 

当院からのメッセージ

咳が長引くと「風邪が治らないのでは」と不安になりますが、実は睡眠時無呼吸症候群が関係していることがあります。夜〜朝に咳が強い、いびきや日中の眠気がある、胸やけや鼻づまりも気になる…そんなときは一度ご相談ください。当院では、咳の原因(喘息・後鼻漏・逆流など)を丁寧に整理しながら、自宅でできる睡眠時無呼吸症候群検査やCPAP治療まで一貫して対応しています。

 

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記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器専門医・医学博士  表紀仁

 

 

参考文献

  1. Sundar KM, Willis AM, Smith S, et al. A randomized, controlled, pilot study of CPAP for patients with chronic cough and obstructive sleep apnea. Lung. 2020;198:449-457. PMID: 32356074.

  2. Yokohori N, et al. Utility of continuous positive airway pressure therapy for treating chronic coughs in patients with obstructive sleep apnea. Intern Med. 2014;53(10):1079-1082. doi:10.2169/internalmedicine.53.1855. PMID: 24827489.

  3. Kim TH, et al. Impact of high-risk of obstructive sleep apnea on chronic cough: data from the Korea National Health and Nutrition Examination Survey. BMC Pulm Med. 2022. PMID: 36384528.

  4. Wang TY, et al. Chronic cough and obstructive sleep apnoea in a sleep laboratory-based pulmonary practice. Sleep Breath. 2013. PMID: 24188336.

  5. Kerr P, Shoenut JP, Millar T, Buckle P, Kryger MH. Nasal CPAP reduces gastroesophageal reflux in obstructive sleep apnea syndrome. Chest. 1992;101(6):1539-1544. doi:10.1378/chest.101.6.1539. PMID: 1600771.

  6. Li C, et al. Effect of continuous positive airway pressure on gastroesophageal reflux in patients with obstructive sleep apnea: a meta-analysis. Sleep Breath. 2021. PMID: 33118054.

  7. Serrano-Pariente J, et al. Asthma outcomes improve with continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnea. Allergy. 2017. PMID: 27732758

 

名古屋市熱田区・中区で睡眠時無呼吸の治療(CPAP)を継続できるクリニックをお探しの方へ

睡眠時無呼吸

「CPAPを始めたけど、仕事が忙しくて通院が続かない…」

「引っ越し・転勤で、熱田区・中区あたりでCPAPを継続できるところを探している」

当院では、多くのCPAP管理会社と提携しており、スムーズに安心してCPAP治療を引きつぎ継続できます。通院の間隔もCPAP治療を問題なく使用でき落ち着いている方では、2~3ヶ月毎の通院としています。金山駅近くで通いやすい当院で無理なくCPAP治療を継続していきましょう。

 

 

<CPAPは「始める」より「続ける」ことが大事です>

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、治療を継続することで

 

・日中の眠気・集中力低下

・いびき・睡眠の質

・血圧や生活習慣病リスク(合併しやすい)

などの改善が期待できます。

 

一方で、CPAPは継続できない理由がはっきりしています。よくあるのは次の4つです。

 

・マスクが合わない(痛い・漏れる・跡がつく)

・鼻づまり・乾燥・喉の違和感

・途中で外してしまう/違和感で眠れない

・通院が負担(場所・時間・予約の取りづらさ)

 

だからこそ、通いやすさと細かい調整を相談できる環境が、CPAP継続の鍵になります。

 

<当院は通いやすいクリニックがモットーです>

 

当院の特徴は、

 

・24時間Web予約可能、いつでも簡単予約!

・時間帯予約制で待ち時間少ない!

・アクセス:金山駅から徒歩1分!

・データ確認と説明が手厚い!(使用時間、AHI、漏れ、圧設定などを見て改善策を提示)

 

金山駅前院では、「装置を貸して終わり」ではなく、続けやすさを上げる支援を重視します。(※対応内容は機種・状態により異なります)

 

 

<金山駅前院でのCPAPフォロー>

 

1)CPAPデータを確認し、“原因”から対策

 

同じ「眠い」「外れる」でも原因は色々です。

・漏れが多い → マスクフィットやサイズ、装着方法の見直し

・圧が合わない → 設定の再評価(必要に応じて)

・使用時間が伸びない → 乾燥・鼻症状・寝具環境などを一緒に調整

 

2)鼻づまり・乾燥の対策も一緒に

 

CPAPが続かない最大要因の一つが鼻症状です。アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・口呼吸などがあると、CPAPは一気に難しくなります。呼吸器・アレルギーの視点で、鼻の状態も含めて整えていくと継続しやすくなります。

 

3)「忙しくても続けられる」導線づくり

 

CPAPは“毎月の定期的な見直し”が重要になりやすい治療です。通院負担が大きいと、良い治療でも続きません。金山駅前院は、熱田区・中区からも通いやすいエリアとして、継続しやすい受診導線を意識しています。

 

<こんな方はご相談ください>

 

・いびき・無呼吸を指摘された、または検査を迷っている

・CPAP中だが、マスクが合わない/鼻がつらい/途中で外れる

・引っ越し・転勤で、熱田区・中区近くでCPAP継続先を探している

・日中の眠気が残る(データ上の問題が隠れていることがあります)

 

<よくある質問(FAQ)>

 

  1. Q1. 他院で導入したCPAPでも継続できますか?
  2. 多くのケースで継続可能です。現在の状況(機種、設定、困りごと)を確認し、必要な手続きを案内します。

 

  1. Q2. CPAPが合っているか分からないです。
  2. AHI、漏れ、使用時間、症状をセットで評価するのが大切です。数字だけでなく「眠気」「途中覚醒」「鼻症状」も含めて見直します。

 

  1. Q3. 鼻炎があるとCPAPは無理ですか?
  2. いいえ。鼻の治療や加湿、マスクの工夫で続けられる方も多いです。まずは原因を整理しましょう。

 

<まとめ>

CPAPは、続けるほどメリットが出やすい治療です。だからこそ、熱田区・中区で継続先を探すときは、アクセスとフォローの質に注目してください。

 

金山駅前院では、CPAPのデータ確認とトラブル対策を通じて、“続けられる治療”を一緒に作っていきます。気になる症状やお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

 

当院のCPAP治療の詳しい説明はこちら

 

 

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名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁

 

 

睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係

睡眠時無呼吸

< なぜ“寝ている間の無呼吸”が血圧を上げるのか>

 

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧のリスクとなります。睡眠時無呼吸症候群の方では夜間高血圧・早朝高血圧・治療抵抗性高血圧が多く、心血管イベント(脳卒中・心筋梗塞)のリスクを高めます。CPAP治療により血圧が改善することも、科学的に示されています。

 

 

 

<なぜ睡眠時無呼吸症候群で高血圧になるのか>

  1.  
  2. 夜間の低酸素
    無呼吸・低呼吸により血液中の酸素飽和度が反復して低下します。これが血管内皮障害と動脈硬化を促進し、血圧を高めます。

  3.  
  4. 交感神経の過剰亢進
    低酸素と覚醒反応により交感神経が持続的に活性化し、夜間も血圧が下がらない(non-dipper)状態になります。交感神経は、体を活動モードにする神経です。緊張やストレス時に働き、心拍数や血圧を上げます。

  5.  
  6. レニン・アンジオテンシン系の活性化
    血圧を上昇させるホルモンであるレニンやアンギオテンシンの活性化が起こります。体液貯留や血管収縮が進み、血圧が上昇します。

  7.  
  8. 胸腔内圧の大きな陰圧
    無呼吸中の強い吸気努力が心負荷を増やし、血圧を上昇させます。

 

<睡眠時無呼吸症候群に特徴的な高血圧のタイプ>

 

① 夜間高血圧/non-dipper型:睡眠中に血圧が下がらない

② 早朝高血圧:起床時に血圧が高い

③ 治療抵抗性高血圧:降圧薬3剤以上でも目標未達

これらは家庭血圧を測ることで知ることができます。

 

  • <CPAP治療は血圧を下げる?>
  •  
  • ・CPAPは無呼吸を抑え、低酸素・交感神経亢進を改善させます。

  • ・過去の研究ではCPAP治療によって、平均2–5 mmHg程度の血圧低下が報告されています(効果は使用時間が長いほど大きくなります)。

  • ・とくに夜間高血圧・治療抵抗性高血圧では改善が期待できます。

 

  • ・マウスピース治療でも血圧を下げる効果があります。軽症〜中等症の睡眠時無呼吸患者において、マウスピース使用により血圧が数mmHg低下することが報告されています。CPAPほどの効果はないものの、装着しやすく継続率が高い点が利点で、特に軽症例やCPAPが合わない方では高血圧管理の補助治療として有用です。

 

  •  
  • <こんな方は睡眠時無呼吸症候群の検査を>
  •  
  • ① 高血圧が若年発症、または薬が効きにくい

  • ② いびき・日中の眠気・起床時頭痛がある

  • ③ 肥満、首回りが太い、男性、更年期以降
     

簡易検査(アプノモニター)やポリソムノグラフィー検査(PSG)を行いましょう。

 

アプノモニター検査の解説YOUTUBEはこちら(ドクターおもての呼吸器専門チャンネル【名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック公式】)

 

 

 

  • <生活習慣でできる対策(治療と併用)>
  •  
  • 減量(体重5–10%減でもAHI・血圧改善)

  • 飲酒制限・就寝前飲酒を避ける

  • 横向き寝(体位療法)

  • 鼻づまりの治療(アレルギー性鼻炎など)

  •  
  •  
  • <まとめ>
  •  
  • ・睡眠時無呼吸症候群は高血圧の重要な原因で、夜間・早朝高血圧や治療抵抗性高血圧と密接に関連しています。

  • ・CPAP治療+生活改善で血圧と心血管リスクを下げられます。
  •  
  • ・高血圧が“なかなか下がらない”方は、睡眠の質を疑うことが大切です。

当院では睡眠時無呼吸の検査を行い、必要に応じてCPAP治療やマウスピース治療を行っています。お悩みの方は、当院へご相談ください。

 

CPAP治療の詳しい記事はこちら

 

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名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁

 

 

参考文献

  1. Peppard PE, Young T, Palta M, Skatrud J. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378–1384.

  2. Marin JM, Agusti A, Villar I, et al. Association between treated and untreated obstructive sleep apnea and risk of hypertension. JAMA. 2012;307(20):2169–2176.

  3. Logan AG, Perlikowski SM, Mente A, et al. High prevalence of unrecognized sleep apnoea in drug-resistant hypertension. J Hypertens. 2001;19(12):2271–2277.

  4. Fava C, Montagnana M, Favaloro EJ, et al. Obstructive sleep apnea syndrome and cardiovascular diseases. Semin Thromb Hemost. 2011;37(3):280–297.

  5. Bratton DJ, Gaisl T, Wons AM, Kohler M. CPAP vs mandibular advancement devices and blood pressure in patients with OSA. JAMA. 2015;314(21):2280–2293.

  6. Martínez-García MÁ, Capote F, Campos-Rodríguez F, et al. Effect of CPAP on blood pressure in patients with obstructive sleep apnea and resistant hypertension. JAMA. 2013;310(22):2407–2415.

 

CPAPはレンタルと購入どっちがいい?

睡眠時無呼吸

コスト・サポート・アップデートの違いをわかりやすく解説

 

CPAP(シーパップ)療法を始める際、患者さんからよく聞かれるのが

「レンタルと購入、どちらが得なんですか?」

という疑問です。
結論から言うと、日本では原則「レンタル」が標準で、理由があります。

この記事では

・ コストの違い

・サポート体制

・機器のアップデート


という3つの視点から、分かりやすく解説します。

 

 

CPAPレンタルとは?

日本の保険診療では「レンタル」が基本

日本では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)でCPAP適応と診断された場合、
CPAP装置は保険適用でレンタルします。

  • ・機器は医療機関やCPAP業者から貸与
  • ・毎月定額(保険適用)
  • ・診察・データ管理とセットで運用

自己判断での購入では保険が使えません

 

CPAP購入とは?

 

CPAP購入は、主に

  • ・海外
  • ・自由診療
  • ・保険適用外ケース

で選ばれる方法です。

  • ・初期費用が高額
  • ・サポートは自己管理
  • ・故障時も自己責任

日本の保険診療ではあまり一般的ではありません

 

 

レンタルと購入の違い【一覧表】


 

 

コスト面の違いをもう少し詳しく

レンタルのコスト感

  • 月額:約4,000~5,000円(3割負担)
  • 年間:約5~6万円

初期費用ゼロ
✔ 故障・交換込み
✔ 継続しやすい

購入のコスト感

  • 本体:10~20万円以上
  • マスク・チューブ:消耗品は別途

⚠ 長期間使わないと割高
⚠ 故障時は追加出費

 

サポート体制の違いはとても重要

レンタルの場合

  • ・使用データを医師が確認
  • ・効果が弱ければ圧設定を調整
  • ・マスク不具合・空気漏れも相談可能
  • ・マスクや附属備品の定期交換も実施

👉 「続けられる仕組み」がある

 

購入の場合

  • ・データ確認は自己管理
  • ・トラブル時は自分で対応
  • ・医師が効果を把握しづらい

👉 途中でやめてしまう人が多い

 

アップデート・機器進化の違い

レンタルの強み

  • 新型CPAPが出れば切り替え可能
  • 静音性・快適性が向上
  • 自動圧調整機能なども進化

📌 常に“今の標準治療”を受けられる

購入の注意点

  • 機器は購入時点で固定
  • 新機能を使うには再購入が必要
  •  

結論:日本ではレンタルがおすすめ

こんな方は「レンタル」

  • 初めてCPAPを使う
  • 保険診療で治療したい
  • サポートを重視したい
  • 機器トラブルが不安

👉 ほとんどの患者さんはこちら

購入が向くケース

  • 海外在住
  • 保険が使えない
  • 医師管理なしで使用する場合
  •  

当院からのメッセージ

CPAP治療で最も大切なのは、「続けられる環境」です。

当院では

  • ・データを見ながらの調整
  • ・マスクトラブルへの対応
  • ・不安や違和感の相談

まで含めて、CPAP治療をサポートしています。当院では設定の落ち着いた方や問題なくCPAPを装着できるようになれば2-3か月毎の通院としています。またCPAP療法士の資格を持った看護師・臨床検査技師も勤務しており、CPAP治療を相談しやすい環境です。

CPAPを始めるか迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

当院のCPAP治療の記事はこちら

 

 

記事作成:

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器専門医・医学博士 表紀仁

 

 

参考文献:

Weaver TE, Grunstein RR.

Adherence to continuous positive airway pressure therapy: the challenge to effective treatment.

Proc Am Thorac Soc. 2008;5(2):173–178. doi:10.1513/pats.200708-119MG 

PMID: 18250209

 

Rotenberg BW, Murariu D, Pang KP.

Trends in CPAP adherence over twenty years of data collection: a flattened curve.

J Otolaryngol Head Neck Surg. 2016;45(1):43. doi:10.1186/s40463-016-0156-0

PMID: 27526079

 

Bakker JP, Weaver TE, Parthasarathy S, Aloia MS.

Adherence to CPAP: What Should We Be Aiming For, and How Can We Get There?

Chest. 2019;155(6):1272–1287. doi:10.1016/j.chest.2019.01.012

PMID: 30817841

 

Patil SP, Ayappa IA, Caples SM, et al.

Treatment of Adult Obstructive Sleep Apnea with Positive Airway Pressure: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline.

J Clin Sleep Med. 2019;15(2):335–343. doi:10.5664/jcsm.7640

PMID: 30736887

 

日本呼吸器学会HP 「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)

CPAP開始1か月の「つまずき」大全

睡眠時無呼吸

乾燥・口開き・鼻詰まり・うるさい…よくある悩みと対処法を専門医が解説

CPAP(シーパップ)療法を始めて 最初の1か月
実はこの時期が、継続できるかどうかの最大の分かれ道です。

  • 「喉や鼻が乾燥してつらい」

  • 「寝ている間に口が開いてしまう」

  • 「鼻が詰まってCPAPが苦しい」

  • 「音が気になって眠れない」

これらは失敗ではなく“よくある通過点”です。
本記事では、呼吸器内科・睡眠医療の立場から、CPAP開始1か月で多い“つまずき”と具体的な解決策をわかりやすく解説します。

 

なぜCPAPは「最初の1か月」がつらいのか?

CPAPは、これまで経験したことのない

  • ・空気が常に流れる

  • ・マスクを装着する

  • ・機械と一緒に寝る

という新しい睡眠環境に体を慣らす治療です。

▶ 多くの方が
1~2週間:違和感が強い → 3~4週間:徐々に慣れる
という経過をたどります。

つまり、
👉 最初の不調=治療が合っていない、ではありません

 

 

つまずき① 乾燥する(喉・鼻がカラカラ)

 

よくある症状

  • ・朝、喉が痛い・イガイガする

  • ・鼻の中が乾いてヒリヒリする

  • ・鼻血が出やすい
  •  

原因

  • ・CPAPの空気は乾燥した圧縮空気

  • ・加湿が不足していることが多い

対処法

① 加湿器(加温加湿)の設定を上げる
→ 冬場・エアコン使用時は特に重要

② 部屋の湿度を40~60%に保つ

③ 鼻・喉の乾燥が強い場合は鼻スプレーや軟膏を併用

👉 乾燥は「設定調整」で改善することがほとんどです

 

つまずき② 口が開いてしまう(口漏れ)

 

よくある症状

  • ・朝、口の中がカラカラ

  • ・風が口から漏れる感じ

  • ・CPAPを使っているのに眠気が取れない

原因

  • ・鼻マスク使用中に口が自然に開く

  • ・鼻づまりが背景にあることも

対処法

① チンストラップ(顎バンド)の使用

② フルフェイスマスクへの変更

  • 鼻+口を覆うため口漏れしにくい

③ 鼻の通りを改善する(後述)

👉 「口が開く=失敗」ではなく、マスク選びの問題なことが多い

 

つまずき③ 鼻が詰まる・息がしにくい

よくある症状

  • ・CPAPをつけると鼻が詰まる

  • ・空気が苦しく感じる

  • ・花粉症・アレルギー性鼻炎がある

原因

  • ・アレルギー性鼻炎・慢性鼻炎

  • ・CPAPの風による粘膜刺激

対処法

① 点鼻薬(ステロイド点鼻など)を併用
→ CPAP継続率が大きく改善します

② 加湿設定を上げる

③ 鼻マスクが合っていない可能性も

👉 鼻炎治療+CPAP調整はセットで考えるのが重要

 

つまずき④ うるさい・音が気になる

よくある訴え

  • ・機械音が気になって眠れない

  • ・空気漏れの「シュー」という音

  • ・家族から音を指摘される

原因

  • ・マスクのフィット不良

  • ・チューブの接触音

  • ・本体の設置場所

対処法

① マスクサイズ・装着位置を再調整

② チューブがベッドや壁に当たらないよう配置

③ 本体を床や少し離れた場所に置く

👉 多くは「音そのもの」ではなく「空気漏れ」が原因

 

CPAPは「合わない」ではなく「調整不足」がほとんど

CPAPが続かない理由の多くは、

❌ 意志が弱い
❌ 我慢が足りない

ではありません。

設定・マスク・鼻の状態の調整不足
これが原因です。

 

CPAPを成功させる3つのコツ

1️⃣ 困ったら我慢せず相談する
2️⃣ 1か月以内に一度は調整を受ける
3️⃣ 「慣れるまでが治療」と理解する

 

よくある質問(FAQ)

  1. Q1. CPAPはどのくらいで慣れますか?
    A. 多くの方が2~4週間で違和感が軽減します。
  2.  
  3. Q2. 乾燥や鼻づまりがあると使い続けられません
    A. 加湿調整や鼻炎治療で改善するケースが大半です。
  4.  
  5. Q3. 音が気になって眠れません
    A. マスク調整で解決することが多く、本体音自体は非常に静かです。
  6.  

当院からのメッセージ

CPAPは、正しく使えれば睡眠の質・日中の眠気・心血管リスクを大きく改善できる治療です。
しかし、そのためには「最初の1か月」を一人で悩まないことが何より重要です。

・当院では

  • ・CPAP導入後のきめ細かなフォロー

  • ・鼻炎・アレルギーを含めた総合的な調整

  • ・マスク・設定の最適化

を行い、「続けられるCPAP」をサポートしています。

CPAPがつらい・合わないと感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

CPAP治療の詳しい記事はこちら

睡眠時無呼吸症候群の検査についてはこちら

 

記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁

 

参考文献

いびき=睡眠時無呼吸ではありません。放置で何が起きる?

睡眠時無呼吸

「いびきがある=睡眠時無呼吸症候群」とは限りません。いびきは“空気の通り道(上気道)が狭くなって振動している音”で、疲労・飲酒・鼻づまり・体重増加・仰向け寝などでも起こります。一方で、いびきの裏に「無呼吸(呼吸が止まる/浅くなる)」が隠れていることもあり、ここを見分けるのがとても大切です。

この記事では、「いびき=無呼吸ではない」を前提にしつつ、もし無呼吸(閉塞性睡眠時無呼吸)があった場合に、放置すると何が起きうるかを、科学的なデータをもとに分かりやすく解説します。

 

まず結論:いびき単独は“良性”のこともある。でも「無呼吸を伴ういびき」は放置が危険

 

  • 単なるいびき(いわゆる単純性いびき)

  • 生活習慣や鼻の状態で起きることも多く、必ずしも重い病気ではありません。
  •  
  • 無呼吸を伴ういびき
  •  
  • 睡眠中に何度も気道が塞がり、窒息状態による低酸素と覚醒(睡眠の分断)を繰り返します。これが長期間続くと、健康リスク(高血圧や心筋梗塞・狭心症)が積み上がります。
    →CPAPやマウスピースでの治療が必要です。

 

 

 

“無呼吸が疑わしい” いびきのサイン

次のうち複数が当てはまる場合、いびきの背後に睡眠時無呼吸がある可能性が上がります。

  • ・家族に「呼吸が止まっていた」「むせる・あえぐように息をしていた」と言われる

  • ・起床時に頭痛、口の渇き

  • ・日中の強い眠気、集中力低下、居眠り運転が心配

  • ・高血圧と言われた/血圧が薬でも下がりにくい

  • ・体重増加、首回りが太くなった

  • ・寝ても疲れが取れない、夜間頻尿

※問診票やアプリだけで確定診断はできず、検査(簡易検査 or PSG:終夜睡眠ポリソムノグラフィー)で確認するのが基本です。

 

放置で何が起きる?(睡眠時無呼吸だった場合の“積み上がるリスク”)

1) 心筋梗塞・脳卒中などの心血管リスクが上がる可能性

睡眠時無呼吸の重症度が高いほど、将来の心血管病(狭心症や心筋梗塞)や死亡リスクが上がることが、様々な研究で示されています。たとえば重症の無呼吸症候群では、心血管疾患・脳卒中・全死亡のリスク上昇が報告されています。

また、未治療の重症の睡眠時無呼吸症候群で心血管病が多く、CPAP治療を行っている方ではリスクが低いことが示されています。

重要ポイント:
「治療で心血管イベントが必ず減る」と言い切れるかは研究デザインで結論が分かれます。たとえば心血管疾患をすでに持つ患者を対象にした大規模研究(SAVE試験)では、平均使用時間が短かった背景もあり、CPAP追加による心血管病の抑制は明確ではありませんでした。一方で、いびき・眠気・QOLは改善しています。

 

2) 高血圧が悪化・コントロール不良になりうる

睡眠時無呼吸症候群は高血圧と関連し、夜間の低酸素や交感神経亢進が血圧に影響すると考えられています。さらに近年、「睡眠時無呼吸がない人でも、客観的に測定した“頻回のいびき”が高血圧(コントロール不良)と関連」した報告もあります。

 

3) 眠気による事故リスク(仕事のミス・運転事故)

OSAは睡眠が分断されるため、日中の眠気や注意力低下が起きやすくなります。過去の研究では、睡眠時無呼吸と交通事故リスク上昇が示されています。 「自分は大丈夫」と思っていても、単調な運転・午後の会議などで出やすいのが特徴です。

 

4) 代謝への影響(インスリン抵抗性など)

睡眠時無呼吸症候群は代謝異常と関連する可能性があり、糖尿病がない睡眠時無呼吸症候群でCPAP治療によりインスリン抵抗性が改善した報告があります(インスリン抵抗性とは、血糖を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなっている状態のことです)。

 

5) 生活の質が落ちる(疲労、気分、家庭内の問題)

いびき・無呼吸は本人だけでなく、家族の睡眠も妨げます。CPAP治療によっていびき・眠気・QOL・気分の改善することがわかっています。

 

「検査しないと分からない」理由:音(いびき)の大きさだけでは判断できない

いびきが大きくても無呼吸が軽い人もいれば、いびきが目立たなくても無呼吸がある人もいます。したがって、疑わしい場合は 検査で“呼吸の状態(AHIなど)”を数値で確認するのが確実です。

当院での受診の流れ

  1. 当院(名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック)での検査・治療の流れは以下のようになっています。
  2.  
  3. 問診:症状(眠気・起床時頭痛・夜間頻尿など)と背景(飲酒、体重変化、高血圧など)を確認

  4. 検査

    • まずは 自宅での簡易検査(アプノモニター検査) を検討します。

    • 結果が陰性でも疑いが強い/合併症がある場合は 精密検査であるPSG(終夜睡眠ポリソムノグラフィー) を検討します。

  5. 治療(重症度や原因に応じて):生活習慣(減量、飲酒、睡眠姿勢)、鼻治療の検討、CPAP療法などを検討します。

 

詳しい検査方法はこちら:睡眠時無呼吸症候群(検査・治療)

 

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. いびきだけでも受診した方がいい?
A. 「家族に無呼吸を指摘された」「日中眠い」「血圧が高い/下がりにくい」などがあれば、睡眠時無呼吸の検査を強くおすすめします。

Q2. 痩せていても無呼吸はありますか?
A. あります。顎や気道の形、扁桃・鼻づまりなどでも起きます(体型だけで否定できません)。

Q3. CPAPは一生必要?
A. 原因(体重、鼻、顎、飲酒、睡眠姿勢など)が改善すれば見直しできる場合もあります。まずは検査で重症度を把握し、現実的な治療目標を一緒に設定します。

 

まとめ:いびきを“放置していいか”は、無呼吸の有無で変わる

  • いびき=無呼吸ではない

  • でも、無呼吸を伴ういびき(OSA)なら放置でリスクが積み上がる(心血管、血圧、事故、代謝、QOL)

  • 判断は「音」ではなく、検査で呼吸状態を見える化するのが近道です。

 

当院からのメッセージ


いびきは「よくある症状」ですが、いびき=睡眠時無呼吸とは限らない一方で、無呼吸が隠れている場合は放置しないことが大切です。

「家族に呼吸が止まっていると言われた」「日中の眠気が強い」「血圧が高い/下がりにくい」「朝の頭痛やだるさがある」など、少しでも思い当たることがあれば、早めに一度ご相談ください

当院では、まず問診で状況を整理し、必要に応じてご自宅で行える簡易検査(睡眠時無呼吸の検査)をご案内します。結果に基づき、生活習慣の改善(体重・飲酒・睡眠姿勢・鼻症状のケア)から、必要な場合はCPAP治療まで、患者さんの生活背景に合わせて無理のない治療方針を一緒に考えます。「いびきは体質だから仕方ない」と諦める前に、まずは“無呼吸があるかどうか”を確認することが、将来の健康を守る近道です。

金山駅前院は、お仕事帰りや忙しい方でも通いやすい体制を整え、安心して相談できるクリニックを目指しています。気になる症状があれば、お気軽にご受診ください。

 

CPAP治療に関する詳しい記事はこちら

 

 

記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁

 

 

参考文献

・Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, Kuhlmann DC, Mehra R, Ramar K, Harrod CG. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504. doi:10.5664/jcsm.6506. PMID:28162150.

・Wang X, Ouyang Y, Wang Z, Zhao G, Liu L, Bi Y. Obstructive sleep apnea and risk of cardiovascular disease and all-cause mortality: a meta-analysis of prospective cohort studies. Int J Cardiol. 2013;169(3):207-214. doi:10.1016/j.ijcard.2013.08.088. PMID:24161531.

・McEvoy RD, Antic NA, Heeley E, et al; SAVE Investigators and Coordinators. CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med. 2016;375(10):919-931. doi:10.1056/NEJMoa1606599. PMID:27571048.

・Marin JM, Carrizo SJ, Vicente E, Agusti AGN. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053. PMID:15781100.

・Tregear S, Reston J, Schoelles K, Phillips B. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581. PMID:20465027.

・Iftikhar IH, Khan MF, Das A, Magalang UJ. Meta-analysis: Continuous positive airway pressure improves insulin resistance in patients with sleep apnea without diabetes. Ann Am Thorac Soc. 2013;10(2):115-120. doi:10.1513/AnnalsATS.201209-081OC. PMID:23607839.

・Lechat B, Naik G, Appleton S, et al. Regular snoring is associated with uncontrolled hypertension. NPJ Digit Med. 2024;7(1):38. doi:10.1038/s41746-024-01026-7. PMID:38368445.

睡眠中に「心臓がバクバク」——それって睡眠時無呼吸症候群?

睡眠時無呼吸

就寝中に起きると心臓が「ドキドキ」「バクバク」しているといった症状は、睡眠時無呼吸症候群でよくみられる現象です。睡眠時無呼吸症候群は夜間の低酸素・息こらえ・交感神経の緊張を繰り返し、不整脈リスク(心房細動や期外収縮、夜間発作性頻拍など)を高めます。正しい診断と治療(CPAPなど)で動悸の改善や再発予防が期待できます。

 

<目次>

  1. 1. 睡眠中の動悸と睡眠時無呼吸の関係

2. なぜ心臓がバクバクするのか(科学的メカニズム)

3. こんな症状があれば要注意(危険サイン)

4. 自己チェック(ESS質問票)

5. 受けるべき検査(簡易検査とPSG)

6. 治療すると良くなる?(CPAPと心臓)

7. よくある質問(FAQ)

8. 当院からのメッセージ

 

 

  1. 1. 睡眠中の動悸と睡眠時無呼吸の関係

 

睡眠時無呼吸では、上気道が閉塞して呼吸が止まる→血中酸素が下がる→脳が「覚醒反応」を起こして呼吸を再開…という窒息と覚醒のミニイベントが一晩に何十回も起こります。このたび重なる交感神経*の急上昇が、夜間の動悸・頻脈・不整脈を誘発します。過去の研究でも、睡眠時無呼吸患者では心電図異常や不整脈の合併が多いことが示されています。

 

*交感神経は、体を「活動モード」にする神経です。緊張や運動、ストレス時に働き、心拍を速くし血圧を上げ、すぐ動ける状態を作ります。

 

 

  1. 2. なぜ心臓がバクバクするのか

 

低酸素・再酸素化の反復が活性酸素と炎症を惹起します。また陰圧負荷(息を吸おうと胸腔内圧が強く下がる)で心臓の壁応力が増大し、交感神経のサージ(カテコラミン増加)で心拍・血圧が急上昇します。長期的には心房細動や心室性不整脈の土台になります。

 

  1. 3. こんな症状があれば要注意

・家族に大きないびきや無呼吸を指摘される

・夜間の動悸・胸部不快感・息切れで目が覚める

・朝の頭痛・強い日中の眠気・集中力低下

・高血圧(特に治療抵抗性)、肥満、糖尿病、甲状腺機能異常の既往

・既往に心房細動や心不全がある

これらが重なるほど、睡眠時無呼吸と不整脈の合併リスクは高まります。

 

  1.  
  2. 4. 自己チェック

 

下記のESS問診表が参考になります。まずは睡眠時無呼吸のセルフチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

合計点が11点以上: 睡眠時無呼吸症候群の疑いが強い

合計点が5~10点:  睡眠時無呼吸症候群の疑いがある

と判断します。

 

 

  1. 5. 受けるべき検査

 

在宅簡易検査(酸素、呼吸、いびき、体位などを測る)をまず行います。自宅で2晩機械を装着して寝ることで、検査します。当院では検査機器の貸し出しを行っております。

場合によっては、さらなる精密検査である終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行います。こちらでは脳波などを含めて睡眠の深さも計測することができます。

 

  1. 6. 治療すると良くなる?

 

睡眠時無呼吸の代表的な治療であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、上気道の閉塞を押し広げ、無呼吸を改善します。夜間の低酸素と交感神経サージを抑え、動悸・不整脈の誘発因子を低減します。研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者さんで心房細動の新規発症や再発が減ることを示されています。

 

  1. 7. よくある質問(FAQ)

 

Q1. いびきがなくても睡眠時無呼吸で動悸は起きますか?

  1. 可能です。いびきは典型ですが、体位や睡眠段階によって目立たないこともあります。動悸・夜間覚醒・日中の眠気があれば検査を。

 

Q2. 簡易検査とPSG、どちらを受けるべき?

  1. スクリーニングとしては在宅簡易検査で十分なことが多く、結果や合併症でPSGを追加します。

 

Q3. CPAPは不整脈の再発も抑えますか?

  1. 研究では心房細動の発症・再発リスクの低下が示されており、特にアブレーション後の再発抑制の報告が増えています。

 

Q4. 自分でできる対策は?

  1. 減量、飲酒制限、仰向け回避、鼻閉治療。これらは無呼吸の改善に寄与し、夜間の動悸リスクを下げます。

 

  1.  
  2. 8. 当院からのメッセージ

 

「いびき」「日中の眠気」だけでなく、夜間の動悸・息苦しさ・不整脈の背景に、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。

 

睡眠中に呼吸が止まると、体は低酸素状態となり、脳が覚醒反応を起こして交感神経が急激に高まります。この負荷が一晩に何十回も繰り返されることで、高血圧・心疾患・不整脈・脳卒中のリスクが高まることが分かっています。

 

睡眠時無呼吸症候群は、正確な検査と適切な治療で改善が期待できる病気です。夜間の動悸が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

睡眠時無呼吸症候群の詳しい検査方法はこちら

CPAP治療に関する詳しい情報はこちら

 

 

記事作成

名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士  表紀仁

 

 

参考情報:

日本睡眠学会 睡眠障害を診断するための検査

日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群

 

睡眠時無呼吸の「簡易アプノモニター検査」とは?

睡眠時無呼吸

自宅で一晩、手のひらサイズの測定器を装着して眠り、睡眠中の呼吸状態を記録する検査です。入院や大掛かりな設備は不要で、いびき・無呼吸・日中の強い眠気がある人にまず行う最初の検査として用いられます。

 

<どんなときに勧められる?>

 

下記のような症状がある方にお勧めします。

 

・家族に「寝ている間、息が止まっている」と言われる

・いびきが大きい、夜中に何度も目が覚める、朝起きてもだるい

・日中の強い眠気、集中力低下、高血圧・糖尿病・肥満がある

・睡眠時無呼吸症候群(SAS)か、大まかな重症度を知りたい

 

<何を測るの?>

 

装置によって異なりますが、代表的には次の指標を同時記録します。

 

① 酸素飽和度(SpO₂):息が止まると下がります。

② 呼吸気流(鼻口の空気の流れ)または呼吸努力(胸腹部バンド)

③ いびき音、体位(仰向け・横向き)、脈拍 など

 

これらから「無呼吸(10秒以上呼吸停止)・低呼吸(呼吸が浅くなる)」の回数を推定します。装着した時は以下のようになります。

 

 

<検査の流れ(自宅で)>

 

1,手続き・説明:医療機関で装置の受け取りと装着方法の指導があります。

 

2,自宅で装着:就寝前にセンサー(鼻のカニューレ、指先のSpO₂、胸腹部バンドなど)を装着して普段通り就寝します。

 

3,翌日返却:装置を返却し、データを解析(1ヶ月程度かかります)。

 

4,医師から結果説明:重症度や治療方針(精密検査やCPAPなど)を相談します。

 

 

<検査の費用>

 

検査料金(3割負担):2,700円

診察料(3割負担):約900円

 

保険で3割負担の方の場合は、合計で3,600円程度になります。

 

<当日の注意>

 

いつも通りの生活でOKです。飲酒を普段からする人は、普段通り飲酒してください。マニキュア・ジェルネイルはSpO₂が誤作動することがあるため外しておいてください。風邪や鼻づまりが強い日は測定を延期することも考えましょう。

 

 

<結果の見方>

AHIという数値が重要です。

AHI(無呼吸低呼吸指数)は「1時間あたりの無呼吸+低呼吸の回数」で無呼吸があるかどうか、無呼吸の重症度がわかります。

 

5〜15:軽症、15〜30:中等症、30以上:重症(目安)

 

最低SpO₂:90%未満が頻発する場合は要注意

 

※簡易検査は「睡眠段階(浅い/深い/REM)」を測れないことが多く、AHIは目安です。症状と合わせて医師が総合判断します。

 

 

<まとめ>

 

簡易アプノモニターは自宅でできる睡眠時無呼吸の入り口検査になります。無呼吸の有無や重症度の目安が分かり、治療や精密検査の要否を決める材料になります。簡単な検査なので、睡眠時無呼吸の症状がある方はまず実施してみてはいかがでしょうか?

 

 

参考資料:

日本睡眠学会 睡眠障害を診断するための検査

https://www.jssr.jp/basicofsleepdisorders3

 

日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)

https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-05.html

 

記事作成:

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

理事長 表紀仁