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在宅酸素療法とは?効果・機器・生活上の注意点を解説

呼吸器・咳

在宅酸素療法は、慢性的に体内の酸素が不足する状態(慢性呼吸不全など)に対して、自宅で酸素を吸入しながら生活する治療法です。外来通院を続けながら治療でき、息切れの軽減や生活の質(QOL)向上、病状の安定を目指します。

この記事では、在宅酸素療法について患者さん・ご家族が知りたいポイント(適応の目安、装置の種類、導入の流れ、日常生活の注意点、よくある質問)をまとめます。

 

当院(名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック金山駅前院)では呼吸器内科を専門としており、在宅酸素療法を行っております。多くの酸素機器提供会社と連携しており、在宅酸素療法を継続したい・開始したいと考えている方は、一度当院へご相談ください。

 

 

在宅酸素療法が必要になるのはどんなとき?

空気中の酸素濃度は約20%ですが、肺や心臓の病気で酸素を取り込む力が落ちると、血液の酸素が十分に保てなくなります。そのような状態で、医師の判断のもと自宅でも酸素吸入を行えるようにするのが在宅酸素療法です。

酸素を吸入する方法としては、機械からチューブを通して酸素が送られてきます。主に鼻に酸素チューブをつけて酸素を吸入します。

 

 

 

適応(導入)の目安

在宅酸素療法は、検査や症状から医師が総合的に判断します。具体的には、主に動脈血ガス検査(採血)、安静にしている時や動いたときのSpO₂(酸素飽和度)などの検査結果と、患者様の息切れの程度などを見て判断します。

また、導入時の目安としては、動脈血液ガス検査においてPaO₂(動脈血酸素分圧)55mmHg以下、または60mmHg以下で睡眠時・運動時に著しい低酸素がある場合などがあります。

※数値はあくまで「目安」で、病気の種類、二酸化炭素貯留の有無、合併症、生活状況により最適な治療は変わります。

 

 

在宅酸素療法ってどうやって行うの?

酸素を吸入する方法としては、機械からチューブを通して酸素が送られてきます。主に鼻に酸素チューブをつけて酸素を吸入します。

機械には部屋の空気から酸素を濃縮するタイプや液体酸素などのボンベを使用するタイプなど様々なものがあります。現在は携帯型タイプのものもあります(後述します)。

 

 

対象となる主な病気(原因)

在宅酸素療法が検討される代表例は、慢性呼吸不全をきたす病気です。よく見られる原因としては以下が挙げられます(実際の適応は医師が判断します)。

在宅酸素療法で期待できる効果

患者さんが実感しやすいメリットは次のとおりです。

  • ・息切れの軽減(特に動作時)

  • ・睡眠の質の改善(夜間の低酸素がある場合)

  • ・日中の活動量アップ(外出・リハビリの継続)

  • ・慢性呼吸不全の治療の一部として、病状を安定させることを目指す

治療のゴールは「酸素を吸うこと」自体ではなく、必要な酸素を確保して“生活を保つ・広げる”ことです。

 

在宅酸素療法の装置の種類:酸素濃縮器・液体酸素・ボンベ(携帯)

在宅酸素療法では、自宅に設置する装置からチューブ(鼻カニューラなど)で酸素を吸入します。主な酸素供給装置として、酸素濃縮器液体酸素、外出時の携帯用ボンベ/携帯型濃縮器などがあります。

 

1)酸素濃縮器(最も主流)

空気から酸素を濃縮して供給します。家庭用電源を使うタイプが中心で、多くの患者さんで選ばれます。

メリット

  • ・残量を気にせず使いやすい(電気があれば継続使用可能)

注意点

  • ・停電時は止まるため、非常用(ボンベ等)の備えが重要



2)液体酸素

液体酸素を気化させて酸素を作ります。電気が不要な点が特徴です。

メリット

  • ・電気が不要(停電時も継続しやすい)

  • ・外出用の“子器”が軽量な場合がある

  • ・酸素流量が高い流量が得られる

注意点

  • ・液体酸素を充填する必要がある
  •  
  • ・持ち運びが不便

3)携帯用酸素(ボンベ/携帯型濃縮器)

外出や通院、リハビリ時に使用します。近年は携帯型濃縮器も普及し、外出の幅が広がっています。車のシガーソケットなどで充電が可能なタイプもあります。

 

 

導入までの流れ(外来での一般的なイメージ)

クリニックで説明する際に使いやすい、一般的な流れです。

  1. ① 症状の確認(息切れ、夜間の苦しさ、歩行時の低酸素など)

  2. ② 検査(SpO₂、必要に応じて動脈血ガス、画像、呼吸機能、運動時・睡眠時評価)

  3. ③ 適応判断:酸素が必要な状況・流量・使用時間帯を検討

  4. ④ 機器の選択:生活導線、外出頻度、停電対策、設置環境を踏まえて決定(装置の選択肢が整理されています)

  5. ⑤ 指導・開始:装着方法、皮膚トラブル対策、火気注意、外出時の取り扱いなど

  6. ⑥ 定期フォロー:症状・SpO₂・副作用(乾燥、鼻出血など)・必要流量の見直し

 

*在宅酸素療法の開始には、医師の酸素処方箋が必要です。

 

名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック金山駅前院では以下の酸素提供会社と提携しています。

・メディカルケア

・小池メディカル

・テイジン

・エバ(エバホームケアサービス)

他にも提携している会社もございますので、お問い合わせください。

 

 

日常生活での注意点:安全に続けるために

火気(禁煙・火の近くで使わない)

酸素そのものは燃えませんが、燃焼を強く助けます

  • ・禁煙(本人だけでなく同居家族も協力を)

  • ・ガスコンロ、ストーブ、ろうそく、線香などの火気は距離を取る

  • ・火気のある場所での酸素使用は避ける

乾燥・鼻や皮膚のトラブル

鼻カニューラで、鼻の乾燥、痛み、鼻出血、耳周りの擦れが起こることがあります。保湿やチューブ固定の工夫、必要なら医療者に相談しましょう。

 

外出・旅行(飛行機を含む)

在宅酸素療法でも外出は可能です。航空機利用などは事前準備が必要になることがあり、学会マニュアルでも旅行時の評価・準備がまとめられています。
「外出してもいいの?」「旅行したい」など、遠慮なく主治医に相談してください。

 

健康保険は使える?費用は?

在宅酸素療法は、適応基準を満たす場合に健康保険が使えることが多いです。自己負担割合(1割〜3割)、公費制度や難病・障害福祉などの対象有無で負担は変わるため、導入時に個別に確認する必要があります。

 

在宅酸素療法が必要な患者様は、病気が進行している状態のことが多く、場合によっては身体障害者認定や難病指定により医療費の負担が大幅に軽減されることがあります。

 

身体障害者認定(呼吸機能障害)についての詳しい記事はこちら

 

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 酸素は「クセ」になりますか?

医師が必要と判断した低酸素を補う治療であり、いわゆる依存の意味で「クセになる」ものではありません。むしろ、必要な酸素を補わず我慢すると体に負担がかかることがあります。

 

Q2. 何時間くらい吸う必要がありますか?

病状と検査結果、日中・夜間・運動時の低酸素の程度で変わります。処方された流量・時間を守り、息苦しさやSpO₂が下がる場面がある場合は主治医へ相談しましょう。

 

Q3. 酸素を増やせば楽になりますか?

自己判断で流量を変更すると、状態によっては危険な場合があります(特に二酸化炭素が溜まりやすい方など)。流量変更は必ず医師の指示で行ってください。

 

Q4. 在宅酸素療法でも運動・リハビリはできますか?

多くの場合、安全に配慮しつつ運動や呼吸リハビリを継続することが大切です。外出用酸素や歩行時の設定など、医療者と一緒に調整します。

 

クリニックからのメッセージ

  • 「階段や坂で息切れが強い」

  • 「歩くとSpO₂が下がると言われた」

  • 「夜間の息苦しさ・寝起きの頭痛がある」

  • 「肺の病気で治療中だが、最近活動量が落ちた」

このような場合は、低酸素が隠れていることがあります。検査で状態を確認し、必要があれば在宅酸素療法を含めた治療をご提案します。名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック(金山駅前院:熱田区)では、血液中の酸素濃度や動作時の息切れなどを見て、酸素の導入ができるかどうか、どのくらいの酸素流量がよいかを決定しています。様々な酸素提供会社と連携しておりますので、他の病院からの転院・転医も受け入れています。お困りの際は、一度当院へご相談ください。

 

当院の呼吸器内科の紹介はこちら

 

 

記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁

 

参考記事

  1. Nocturnal Oxygen Therapy Trial Group. Continuous or nocturnal oxygen therapy in hypoxemic chronic obstructive lung disease: a clinical trial. Ann Intern Med. 1980 Sep;93(3):391-398. doi:10.7326/0003-4819-93-3-391. PMID:6776858.

  2. ・Medical Research Council Working Party. Long term domiciliary oxygen therapy in chronic hypoxic cor pulmonale complicating chronic bronchitis and emphysema. Lancet. 1981 Mar 28;1(8222):681-686. PMID:6110912.

  3. ・Albert RK, Au DH, Blackford AL, et al. A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD with Moderate Desaturation. N Engl J Med. 2016 Oct 27;375(17):1617-1627. doi:10.1056/NEJMoa1604344. PMID:27783918.

  4. ・Jacobs SS, Krishnan JA, Lederer DJ, et al. Home Oxygen Therapy for Adults with Chronic Lung Disease. An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2020 Nov 15;202(10):e121-e141. doi:10.1164/rccm.202009-3608ST. PMID:33185464.

  5. ・Ahmadi Z, Sundh J, Bornefalk-Hermansson A, Ekström M. Long-Term Oxygen Therapy 24 vs 15 h/day and Mortality in Chronic Obstructive Pulmonary Disease. PLoS One. 2016 Sep 20;11(9):e0163293. doi:10.1371/journal.pone.0163293. PMID:27649490.