睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係
2026.02.03
< なぜ“寝ている間の無呼吸”が血圧を上げるのか>
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧のリスクとなります。睡眠時無呼吸症候群の方では夜間高血圧・早朝高血圧・治療抵抗性高血圧が多く、心血管イベント(脳卒中・心筋梗塞)のリスクを高めます。CPAP治療により血圧が改善することも、科学的に示されています。

<なぜ睡眠時無呼吸症候群で高血圧になるのか>
- 夜間の低酸素
無呼吸・低呼吸により血液中の酸素飽和度が反復して低下します。これが血管内皮障害と動脈硬化を促進し、血圧を高めます。
- 交感神経の過剰亢進
低酸素と覚醒反応により交感神経が持続的に活性化し、夜間も血圧が下がらない(non-dipper)状態になります。交感神経は、体を活動モードにする神経です。緊張やストレス時に働き、心拍数や血圧を上げます。
- レニン・アンジオテンシン系の活性化
血圧を上昇させるホルモンであるレニンやアンギオテンシンの活性化が起こります。体液貯留や血管収縮が進み、血圧が上昇します。
- 胸腔内圧の大きな陰圧
無呼吸中の強い吸気努力が心負荷を増やし、血圧を上昇させます。
<睡眠時無呼吸症候群に特徴的な高血圧のタイプ>
① 夜間高血圧/non-dipper型:睡眠中に血圧が下がらない
② 早朝高血圧:起床時に血圧が高い
③ 治療抵抗性高血圧:降圧薬3剤以上でも目標未達
これらは家庭血圧を測ることで知ることができます。
- <CPAP治療は血圧を下げる?>
- ・CPAPは無呼吸を抑え、低酸素・交感神経亢進を改善させます。
- ・過去の研究ではCPAP治療によって、平均2–5 mmHg程度の血圧低下が報告されています(効果は使用時間が長いほど大きくなります)。
- ・とくに夜間高血圧・治療抵抗性高血圧では改善が期待できます。
- ・マウスピース治療でも血圧を下げる効果があります。軽症〜中等症の睡眠時無呼吸患者において、マウスピース使用により血圧が数mmHg低下することが報告されています。CPAPほどの効果はないものの、装着しやすく継続率が高い点が利点で、特に軽症例やCPAPが合わない方では高血圧管理の補助治療として有用です。

- <こんな方は睡眠時無呼吸症候群の検査を>
- ① 高血圧が若年発症、または薬が効きにくい
- ② いびき・日中の眠気・起床時頭痛がある
- ③ 肥満、首回りが太い、男性、更年期以降
→ 簡易検査(アプノモニター)やポリソムノグラフィー検査(PSG)を行いましょう。
アプノモニター検査の解説YOUTUBEはこちら(ドクターおもての呼吸器専門チャンネル【名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック公式】)
- <生活習慣でできる対策(治療と併用)>
- 減量(体重5–10%減でもAHI・血圧改善)
- 飲酒制限・就寝前飲酒を避ける
- 横向き寝(体位療法)
- 鼻づまりの治療(アレルギー性鼻炎など)
- <まとめ>
- ・睡眠時無呼吸症候群は高血圧の重要な原因で、夜間・早朝高血圧や治療抵抗性高血圧と密接に関連しています。
- ・CPAP治療+生活改善で血圧と心血管リスクを下げられます。
- ・高血圧が“なかなか下がらない”方は、睡眠の質を疑うことが大切です。
当院では睡眠時無呼吸の検査を行い、必要に応じてCPAP治療やマウスピース治療を行っています。お悩みの方は、当院へご相談ください。
CPAP治療の詳しい記事はこちら
記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック
呼吸器内科専門医・医学博士 表紀仁
参考文献
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- Fava C, Montagnana M, Favaloro EJ, et al. Obstructive sleep apnea syndrome and cardiovascular diseases. Semin Thromb Hemost. 2011;37(3):280–297.
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- Martínez-García MÁ, Capote F, Campos-Rodríguez F, et al. Effect of CPAP on blood pressure in patients with obstructive sleep apnea and resistant hypertension. JAMA. 2013;310(22):2407–2415.