食器洗浄機は小児ぜんそくや湿疹のリスクを高める?
2015年、「家庭で食器を手洗いしている方が、子どものアレルギーが少ない」という研究が話題になりました。これはスウェーデンの研究者 Hesselmarらが発表したもので、国際的にも注目された内容です。
「食洗機を使うとぜんそくやアレルギーが増えるの?」
「手洗いの方が良いの?」
そんな疑問を、呼吸器専門医の立場から、わかりやすく解説します。
<食器洗浄機と小児ぜんそくに関する研究とは? ― スウェーデンの子ども 1029 人を調査>
この研究では、スウェーデン南部に住む 7〜8歳の子ども 1,029 名を対象に、
・ぜんそく
・アレルギー性鼻炎
・湿疹(アトピー性皮膚炎)
などのアレルギー症状と、家庭で食器洗いをどうしているか(手洗い or 食器洗浄機)の関係を調べました。
結果は、食器を手洗いしている家庭の子どもは…
・ぜんそくが少ない
・アレルギー性鼻炎が少ない
・湿疹が少ない
という関連がありました。また、発酵食品(例:手作りヨーグルトやザワークラウト)をよく食べる家庭、家族が中古品(使い回しのお下がり)を使うことが多い家庭、でもアレルギーが少ない傾向がありました。
<なぜ手洗いの方がアレルギーが少ないの?>
この研究では「手洗いの方が食器に少し菌が残りやすい=過度に衛生的ではない」という点が関係しているのではないか、と考察されています。
これは「衛生仮説」が関係していると考えられていて、これは幼児期にほどよく細菌に触れて育つ方が、免疫のバランスが整いアレルギーが起こりにくい、という考え方です。食洗機は高温・高圧の洗浄で食器を非常に清潔にするため、手洗いよりも菌に触れる機会が少なくなる →その結果、アレルギーが増える可能性がある、と解釈されました。ただし、これはあくまで「仮説」であり、食洗機=アレルギーが増えると断定できるわけではありません。
たとえば、手洗いする家庭はライフスタイルや食習慣も異なる、食洗機を使う家庭は都市部で共働きが多い、遺伝的背景や生活環境が違う、など、いろいろな要因が複雑に関係しています。
<食洗機はやめた方がいいの?>
この研究だけを根拠に「食洗機はアレルギーのリスクを高めるから使わない方がいい」とは言えません。
✔ 食洗機は食中毒予防に優れ、衛生的
✔ 日本の生活環境はスウェーデンと大きく異なる
✔ 他の研究では明確な関連が確認されていない
以上から、免疫の発達には、「過度に清潔にしすぎない」ことも大切ですが、食洗機をやめる必要はありません。
このHesselmar らの研究は、アレルギーと「衛生仮説」を考えるうえで非常によい“入口”になる研究です。ただし、“結論を出す研究”というより、考えるきっかけを与える研究という風に考えていただければよいかと思います。
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論文:
Bill Hesselmarら「Allergy in children in hand versus machine dishwashing」
Pediatrics. 2015 Mar;135(3):e590-7.
記事作成:

名古屋おもて呼吸器・アレルギー内科クリニック
医学博士・呼吸器内科専門医 表紀仁